AV作品を探している時間、実は視聴時間より長い問題
配信サイトを延々とスクロールして、結局どれも再生せずに終わる。なぜ作品探しはこれほど時間がかかるのか、その構造を分解して考えます。
配信サイトを開いて、サムネイルを眺めて、サンプル動画をいくつか再生して、また一覧に戻る。それを繰り返しているうちに、気づけば30分が経っている。そして結局、どれも本編を見ないまま画面を閉じる。
経験のある人は多いのではないでしょうか。探している時間のほうが、見ている時間より長い。
これは意志が弱いとか、優柔不断だとかいう話ではありません。現在の作品の探し方には、そうなってしまう構造的な理由があります。この記事では、その理由を分解して整理してみます。
選択肢が多すぎると、人は選べなくなる
まず前提として、配信サイトに並んでいる作品数は膨大です。大手の配信サイトなら、取り扱い作品は数十万点規模になります。
選択肢が多いほど満足度が上がるように思えますが、実際には逆のことが起きます。心理学では「選択のパラドックス」として知られている現象で、選択肢が一定数を超えると、人はかえって決められなくなり、選んだ後の満足度も下がるとされています。
ジャムの種類を24種類並べた売り場と、6種類だけ並べた売り場を比較した有名な実験があります。24種類のほうが多くの人が足を止めましたが、実際に購入したのは6種類の売り場のほうが圧倒的に多かった、という結果でした。
作品探しでも同じことが起きています。選択肢が多いほど「もっといいものがあるかもしれない」という気持ちが働き、決定が先送りされます。そして一覧をスクロールし続けることになります。
検索窓には「自分が知っている言葉」しか入力できない
もうひとつ、検索という方法そのものに限界があります。
検索は「探しているものが分かっている」ときには非常に強力です。特定の女優の新作を確認したいとか、特定のシチュエーションの作品が見たいとか、目的が明確なら数秒で辿り着けます。
しかし逆に言えば、検索窓には自分がすでに知っている言葉しか入力できません。
自分がまだ知らないジャンル、言語化できていない好み、名前を知らない女優。こうしたものは、どれだけ検索しても出てきません。検索は「知っているものを取りに行く」道具であって、「知らないものと出会う」道具ではないからです。
そして多くの場合、本当に刺さる作品は、自分が想定していなかったところにあります。
パッケージ画像だけでは判断できない
一覧画面で最初に目に入るのはパッケージ画像とタイトルです。ここで判断を迫られるわけですが、この情報量は意外と少ない。
パッケージは作品を宣伝するために作られているので、どれも一定のフォーマットに収まっています。結果として、パッケージで惹かれなかったけれど、実際に映像を見たら突然刺さったという作品を取りこぼすことになります。
逆もあります。パッケージは好みだったのに、実際の映像の雰囲気やテンポが合わなかった、というケースです。
つまり、一覧画面での判断材料と、実際の満足度を決める要素が、そもそもずれているわけです。
判断のたびに、少しずつ疲れていく
一覧をスクロールしながら、私たちは無数の小さな判断を繰り返しています。「これは違う」「これは保留」「これはちょっと気になる」。
人間の判断力は有限で、判断を重ねるほど消耗していくことが知られています。決定疲れと呼ばれる現象です。
買い物の後半になるほど適当に選んでしまう、という経験に心当たりがある人もいるでしょう。作品探しでも同じことが起きます。探し始めの10分は真剣に選んでいても、30分経つ頃には判断力が落ちています。そして「今日はもういいか」となる。
探すこと自体が体力を消費しているわけです。
では、どうすればいいのか
構造の話ばかりしてきましたが、対処の方向性もいくつか考えられます。
1. 判断の回数を減らす
一度に大量のサムネイルを見比べるのではなく、1つずつ順番に見ていく。選択肢を同時に並べないだけで、比較による消耗はかなり減ります。
2. 静止画ではなく映像で判断する
パッケージではなくサンプル動画を起点にする。判断材料が実際の満足度に近づくので、取りこぼしも読み違いも減ります。
3. 偶然の出会いを意図的に増やす
自分で検索するのをやめて、たまたま流れてきたものに反応する。知らないジャンルとの出会いは、能動的に探しているときよりも、受動的に眺めているときのほうが起きやすい。
SNSを延々と眺めてしまうのは、この「受動的に流し見る」形式が、人間にとって負担が少ないからです。探す労力がかからないので、いつまでも続けられる。
ERODIGが試していること
当サイトが取り組んでいるのは、この3つを同時に満たす形式です。
- 1画面に1作品だけを表示して、比較による消耗を減らす
- パッケージではなくサンプル動画を起点にする
- 検索せず、スワイプするだけで次々と作品に出会える
「検索して探す」のではなく「眺めているうちに見つかる」体験に置き換えられないか、という試みです。
作品探しに時間を使いすぎている自覚がある人は、探し方そのものを変えてみる価値があるかもしれません。